藍でつくられた色ー⑪ 藍色ⅱ

色とは緑味の青色で、藍と黄檗•刈安などで染めたものです。『延喜式縫殿寮』には濃度によって深•中•浅•白の4段階の染め方と用度が記載されています。得たい色は材質が綾•帛•糸の違いによって染料の量が異なりますので、記されている内容で全てを比べることはできません。しかし藍色の色相を考えるにはこの資料が重要だと思いますので、一部で比べてみたいと思います。比べる色は糸1絇(すが)の色名と材料です。1圍は両手を伸ばして抱えるぐらいの量で、1両は41~2gです。深藍色 藍一圍小半黄檗十四両」「深縹 藍四圍」「深緑 藍三圍苅安草大九両」これから推測すると深藍色でも、現在用いられている藍色よりも薄く黄味が強いようです。

 

次は「浅藍色 藍小半圍黄檗八両」「黄浅緑 青浅緑 藍小半圍黄檗八両」浅藍色と黄浅緑の材料が同じなことから大体想像できます。黄浅緑は鮮やかな黄緑色で「きのあさみどり」と読み、黄味が強い黄緑だといわれています。青浅緑が並列して記されていて、同じ色とする説もありますが、同じ染材を用いても染める順番や他の要素で色合いは変わります。藍で先に染めた場合と黄檗を先に染めた場合とでは、色相はずいぶん違います。どちらの色にしても相当黄味が強い青色なのではないかと考えますが、藍色を多くの書籍や色名帳では青味の強い色に想定しています。藍色は藍草が成長する過程の葉の色相を、真似たような色ではないでしょうか。

 

 

初め黄味のある色として用いられていた藍色が「純粋な深い青色を藍色と呼ぶようになったのは、江戸時代以降になってからです。」と多くの方や書物で云われていますが、用例が見つかりません。能因本『枕草子』(10世紀後)「あゐときはだと」や、連歌論書『筑波問答』(14世紀後)「あゐより出てあゐよりあをく、水より出て水より寒し」など藍草の「あゐ」を記したものは見つかりますが、「藍色」が衣装などに使われている書物を殆ど見ることがありません。浮世草子『好色万金丹』(1694)の中に「かかる家の女郎は、白縮緬に縫紋の小袖を浅葱に染め直し、其次を空色、其跡をあゐみるちゃに焼き返す事お定まり也」使用しながら藍で染め重ね、布帛が大切に扱われている様子がわかります。江戸時代の藍はあくまでも染料で、濃淡を表す色名は浅葱•千草•はなだ色•御納戸色•瑠璃色•瑠璃紺などが登場しますが、所説の藍色が使われていた例言を知りたいです。